2023年1月31日火曜日

【ジェンダー副読本】美術学校での女性の立場

 みなさんは、学校に通っていますよね。
日本には、名古屋大学のように色々な科目を学ぶことができる学校や、ある教科をメインに学ぶ学校、例えば美術学校のようなところもあります。
現在、国内には、750校以上の美術学校があるそうです。今は「女性は入学できない」というようなことはないですが、昔はどうだったのでしょうか?
今回のブログでは、美術学校での女性の立場について紹介していきます。


女性の美術の勉強

明治時代(今から100年以上前)、女性は学校で「家庭科」をたくさん学んでいたため、「美術」の授業は男性より少なかったのです。このころの教育は、「良妻賢母主義(りょうさいけんぼしゅぎ)」という、女性はよい妻、かしこい母になるべきだ、と考えられていました。しかし、そこから徐々に女性にも社会で働くための権利が認められてきました。その結果、今は女性も男性も美術の勉強ができるようになっています。

 

日本の美術学校

・工部美術学校(こうぶびじゅつがっこう)

1876年に日本で最初に誕生した、国が運営する美術学校です。ここでは、女性も男性と同様に美術の勉強をすることが出来ました。1883年になくなるまでに、7人の女性が入学し、何人かは女性画家として活躍しました。

・東京美術学校

1887年に設立した東京美術学校は、戦争が終わるまで(1949年まで)女性は入学することはできませんでした。一方で、東京音楽学校は女性も入学することができました。美術と音楽で、このような差が生まれていたのです。

・女子美術学校

1900年に私立女子美術学校として誕生しました。横井玉子(よこいたまこ)さんが中心となって、女性のための美術学校をつくりました。戦争の間も美術教育を続け、1949年には「女子美術大学」となって現在まで続いています。


おわりに

昔は、女性が美術の勉強を思うようにできない時代もありました。でも、今は女性も美術の世界で活躍しています。

今回、clasの展示作品はすべて女性の作家のものです。お気に入りの作品を探してみてくださいね。

 

【参考文献】
明治期における女性と美術教育
女子美術大学110周年 110年の歩み

【ジェンダー副読本】“男性の世界”に立ち向かった女性の画家たち

はじめに

 今の時代では、私達は好きな時に好きなやり方で絵を描いたり見たりすることができます。しかし、皆さんは昔の有名な画家を聞かれた時、まず誰を思い浮かべますか?そして、最初に思い浮かんだその人の性別はどうでしょうか?おそらく、ほとんどの場合は男性の画家ではないかと思います。事実、かつて男性以外が自由に絵を描けない、描いても正しく評価されない時代がありました。しかし、それでも自ら絵を描きつづけ、“男性の世界”に立ち向かった女性の画家たちがいたことを見逃してはいけません。ここではその中から2人を紹介します。

ベルト・モリゾ

 ベルト・モリゾ(1841~1895)はフランスの印象派の画家です。モリゾは14歳から本格的に絵を学び始めましたが、当時の女性は学校で美術を学ぶことが難しく、ルーヴル美術館に通って絵を描き写すことで腕を磨きました。20歳のころコローに色彩表現を学び、23歳でサロン(展覧会)に初めて入選しました。27歳のときマネと出会い、マネの人物表現に影響を受けましたが、サロンに出品しようとした自信作をマネに大きく描き直され、自分の作風を確かにする必要性をと感じました。その後結婚したモリゾは、家族や日常の風景などをモデルに独立して絵を描き続け、33歳の時に開かれた第1回印象派展に女性としてただ一人出品し、その後もほぼすべての回に参加して少しずつ画家としての評判を高めました。

三岸節子

 三岸節子(1905~1999)は大正から昭和にかけて活躍した日本の画家です。高等女学校にいた時に上松松園などの美人画の描き写しを試すなどして、卒業後16歳の時に岡田三郎助に絵を学び始めます。その後女性が絵を本格的に学べる場所としてはかなり珍しかった女子美術学校に編入し、19歳の時に首席で卒業しました。同じ年に結婚もしています。20歳の時には春陽会展に作品が初めて選ばれたり、仲間と婦人洋画協会を結成したりしています。29歳の時に夫を亡くしてシングルマザーとなりますが、三人の子どもを育てつつ活動を続けます。戦後になると日本や世界の各地で積極的に作品を出品したり個展を開いたりして、ついに84歳の時に女性の洋画家では初めて文化功労者に選ばれました。

おわりに

 今回は、ベルト・モリゾと三岸節子の2人について、若い時を中心に紹介しました。もちろんこの2人の他にも活躍した人は多くいます。気になったらぜひ自分で調べてみてください!また、今回の記事を書くにあたって参考にした情報を紹介するので、さらに学びたい人はそちらもぜひご覧ください。

M.I.

参考

NHK高校講座|美術Ⅰ|第12回 アートとジェンダー

https://www.nhk.or.jp/kokokoza/tv/bijutsu/archive/chapter012.html

ベルト・モリゾ|美術手帳

https://bijutsutecho.com/artists/759

三岸節子::東文研アーカイブデータベース

https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/28150.html


【ジェンダー副読本】ジェンダーってなんだろう?

 ジェンダーってなんだろう?

美術とジェンダーにはどんなつながりがあるの?


みなさんは、まわりの人から「男の子だから泣くんじゃない」「女の子だからお母さんの手伝いをしなさい」みたいなことを言われたことはありますか?

もしかすると「男の子なのにおままごとが好きなんて変だよ」とか「女の子なのに仮面ライダーが好きなんておかしいよ」と、おともだちに言われたことがあるかもしれません。おともだちにこのようなことを言ってしまったことがある人も、いるかもしれません。

もし、みなさんがこのようなことを言われたら、どう思いますか?

 

ジェンダーとは、性別のことです。性別といっても「男」や「女」という、からだの性別ではありません。ジェンダーとは、私たちの中でつくられた「おもいこみの性別」です。私たちの社会には、このような「おもいこみの性別」がとてもたくさんあります。「男の子らしく」「女の子らしく」という言葉は、ジェンダーによるものであると考えられます。

さいきんでは、このような「おもいこみの性別」をなくそう、男の人も女の人も自分の生きたいように生きようという、ジェンダーによるおもいこみをなくす動き「ジェンダーびょうどう」がすすんできています。

 

絵のせかいでは、長いことジェンダーによる差別がありました。絵をかくのは男の人の仕事とされ、女の人のかいた絵がしょうをとったり、ひょうかされたりすることはとても難しいことでした。長いあいだ絵のせかいでは、女の人は「男の人に見られて、絵にかかれるモデル」でしかありませんでした。日本でも、このようなことがありました。国がつくった絵をべんきょうするための学校に女の人も入れるようになったのは、今から70年ほどまえのことです。

このようなむずかしいたちばの中でも、絵をかこうとがんばった女の人たちがせかいじゅうにいます。

 

こんかい、clas(クラス)にかざっている作品は、すべて女の人が作ったものです。国がつくった絵をべんきょうするための学校に、まだ女の人が入れなかったときに作られた作品もあります。どんな時代に、どんな女の人が、どんなきもちで作品を作ったのでしょうか。よく見てみましょう。




 

参考文献

与那嶺涼子“性差:ジェンダーとセックスの違い”内閣府. 2011. https://www.cao.go.jp/pko/pko_j/organization/researcher/atpkonow/article070.html(参照:20221231日)

上野行一“美術Ⅰ アートとジェンダー”. NHK高校講座https://www.nhk.or.jp/kokokoza/tv/bijutsu/archive/chapter012.html(参照:20221231日)



N.M.

2023年1月10日火曜日

授業報告①

こんにちは、ブログ担当のC班です。
この記事では、博物館実習の授業で私たちが何をしていたかの報告をします。

clasの展示ができるまでにはどんな道のりがあったのでしょうか?


2022年11月30日

この日はまず、作品グループの打ち合わせをしました。
作品の横に展示されている解説やワンフレーズ、clasに置くセルフガイドは、この作品グループが作ったものです。
この日は解説やセルフガイドの確認をしました。


作業グループの打ち合わせも行いました。
この博物館実習は、作業グループが4つに分かれています。

展覧会タイトルや展示計画などを決める、展覧会の基礎を担う事業班
展覧会のポスター作成、オリジナルTwitterの運営など、展覧会の発信面を担う総務班
この展覧会の大人向けのブログの運営、大人向け副読本の執筆など、大人向けの解説を担う情報(大人)班
そしてこの子供向けブログの運営、子供向け副読本の執筆を行なっている私たち情報(子供)班 です。






このようにそれぞれの班で相談をしながら、展覧会に向けた準備をしています。



2022年12月21日

この日も、グループごとに分かれて打ち合わせをしました。
展覧会に向けて、どんどん準備が進んでゆきます。



展示で使っているパネルの一部は、私たちの班が作っています。
この日はフライヤーが完成しました!



この素敵なフライヤーを作ってくれたのは総務班の人たちです。総務班の人たちは、プレスリリースという、外の人たちに向けて展覧会を説明する文書も作ってくれています。


総務班の人たち、ありがとうございます!
2022年最後の授業ということで、今後のスケジュールを確認しながら授業は終わりました。


2023年1月11日

あけましておめでとうございます。2023年最初の授業です。
いよいよ展覧会の日が迫ってきて、作業グループの準備も大詰めです。
この日は、フライヤーとプレスリリースを色々な場所に送るための宛名書きをしました。




新聞社や美術館、図書館など、たくさんの場所に送らせていただきました。
展示に向けて、どの班も頑張っています!
ぜひ2月2日からのclasでの展示を見にきてくださいね。

N.M.








【ごあいさつ】2月に展覧会をやります!

 皆さん、こんにちは!

私たちは、名古屋大学の博物館実習メンバーです。

いつもは、博物館の様々なことについて勉強したり、いろいろな博物館を見学したりと、様々な活動をしています。

この度、私たちの授業の成果として、大学内の施設で展覧会を開くことになりました!


タイトル:この作品見てどう思う?~版画作品との対話会~

期間:2023/2/2(木)~2/8(水) ※2/4(土)・2/5(日)はお休み

時間:10:00~18:00  ※2/8(水)は17:00まで

会場:名古屋大学教養教育院プロジェクトギャラリー「clas」


この展覧会では入場料金はとりません。予約の必要もありません。

そして何と、この展覧会では基本的な感染対策を守っていれば、作品のことや作家のこと、自分が感じたことなど、思ったことを自由にしゃべってOKなんです。

会場には感じたことを書けるふせんも準備しているので、話し相手がいなくても大丈夫。

また、2/8(水)の13:00~14:30には、展覧会をより楽しむために、展示されている作品を実際に見ながら思ったことや考えたことを話し合う「対話型鑑賞」をやります!

私たち実習メンバーも参加します。

もちろんこの時間以外でも、メンバーが交代で会場にいるので、自由に話しかけてみてください。

展覧会の期間中、皆さんに会えることを楽しみにしています。

ぜひご来場ください!

M.I.


実習終了のご挨拶

展示「この作品見てどう思う? 〜版画作品との対話会〜」は無事に終了いたしました。 clasにご来場いただいたみなさま、ブログを読んでくださったみなさまに感謝いたします。 このブログの更新をもって、広報業務も終了とさせていただきます。 誠にありがとうございました。 C 班(子供向け...