2023年1月31日火曜日

【ジェンダー副読本】“男性の世界”に立ち向かった女性の画家たち

はじめに

 今の時代では、私達は好きな時に好きなやり方で絵を描いたり見たりすることができます。しかし、皆さんは昔の有名な画家を聞かれた時、まず誰を思い浮かべますか?そして、最初に思い浮かんだその人の性別はどうでしょうか?おそらく、ほとんどの場合は男性の画家ではないかと思います。事実、かつて男性以外が自由に絵を描けない、描いても正しく評価されない時代がありました。しかし、それでも自ら絵を描きつづけ、“男性の世界”に立ち向かった女性の画家たちがいたことを見逃してはいけません。ここではその中から2人を紹介します。

ベルト・モリゾ

 ベルト・モリゾ(1841~1895)はフランスの印象派の画家です。モリゾは14歳から本格的に絵を学び始めましたが、当時の女性は学校で美術を学ぶことが難しく、ルーヴル美術館に通って絵を描き写すことで腕を磨きました。20歳のころコローに色彩表現を学び、23歳でサロン(展覧会)に初めて入選しました。27歳のときマネと出会い、マネの人物表現に影響を受けましたが、サロンに出品しようとした自信作をマネに大きく描き直され、自分の作風を確かにする必要性をと感じました。その後結婚したモリゾは、家族や日常の風景などをモデルに独立して絵を描き続け、33歳の時に開かれた第1回印象派展に女性としてただ一人出品し、その後もほぼすべての回に参加して少しずつ画家としての評判を高めました。

三岸節子

 三岸節子(1905~1999)は大正から昭和にかけて活躍した日本の画家です。高等女学校にいた時に上松松園などの美人画の描き写しを試すなどして、卒業後16歳の時に岡田三郎助に絵を学び始めます。その後女性が絵を本格的に学べる場所としてはかなり珍しかった女子美術学校に編入し、19歳の時に首席で卒業しました。同じ年に結婚もしています。20歳の時には春陽会展に作品が初めて選ばれたり、仲間と婦人洋画協会を結成したりしています。29歳の時に夫を亡くしてシングルマザーとなりますが、三人の子どもを育てつつ活動を続けます。戦後になると日本や世界の各地で積極的に作品を出品したり個展を開いたりして、ついに84歳の時に女性の洋画家では初めて文化功労者に選ばれました。

おわりに

 今回は、ベルト・モリゾと三岸節子の2人について、若い時を中心に紹介しました。もちろんこの2人の他にも活躍した人は多くいます。気になったらぜひ自分で調べてみてください!また、今回の記事を書くにあたって参考にした情報を紹介するので、さらに学びたい人はそちらもぜひご覧ください。

M.I.

参考

NHK高校講座|美術Ⅰ|第12回 アートとジェンダー

https://www.nhk.or.jp/kokokoza/tv/bijutsu/archive/chapter012.html

ベルト・モリゾ|美術手帳

https://bijutsutecho.com/artists/759

三岸節子::東文研アーカイブデータベース

https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/28150.html


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