好きな作家(吉田博)
みなさんは「版画(はんが)」と聞くと、どのような作品を思い浮かべますか?木の板を削って、一色のインクを塗って刷る木版画を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし一口に「版画」といっても、その作品は様々です。
今回の記事では「新版画」を代表する版画家、吉田博(よしだ ひろし)を紹介します。新版画とは明治30年頃から昭和時代に描かれた木版画を指します。当時浮世絵(うきよえ)版画は国内で衰退(すいたい)しつつあったため、その復興を目指す運動が広まっていきました。新版画は伝統的な浮世絵の技法を引き継ぎつつ、次の時代の版画として人気を博しました。吉田博もまた、浮世絵をはじめとした日本の伝統的な木版画にヨーロッパ絵画の技法を取り入れ、新しい木版画の制作を目指しました。洋画家としても活躍していた吉田博は、洋画の繊細(せんさい)で確かな描写力をもとに緻密(ちみつ)で美しい風景を数多く描きました。彼の作品の特徴は、何と言ってもその色づかいです。鮮やかな江戸時代の浮世絵とはまた違う柔らかい色づかいは、透き通るような空気を感じさせます。繊細な描写を実現するために非常に多くの色が使われ、30回以上、中には100回近く色を摺り重ねた作品もあります。
吉田博の作品は国内外から人気を集め、イギリスのダイアナ妃がケンジントン宮殿の執務室に彼の作品を飾ったという話もあります。近年は「没後70年 吉田博展」の巡回展も開催され、現在に渡って多くの人々に愛されています。
「帆船 朝(瀬戸内海集)」 大正15年(1926)ダイアナ妃も愛したその瑞々しい風景 吉田博展 福岡県立美術館 – 美術展ナビ (artexhibition.jp)
参考
没後70年 吉田博展|東京都美術館 (tobikan.jp)
吉田博 | 美術作品 | 山田書店美術部オンラインストア (yamada-shoten.com)
吉田博が木版画作家になったきっかけ|ダイアナ妃に認められた吉田博の略歴と木版画が楽しめる全国の美術館 - ブログ (baku-art.co.jp)
Y.K.
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